直径2インチ ダイヤモンドウェハの量産技術開発に成功
パワー半導体デバイスの企業研究開発に拍車

アダマンド並木精密宝石株式会社(東京都足立区、代表取締役社長 並木里也子)は、新原理のダイヤモンド結晶成長方法により直径2インチのダイヤモンドウェハの量産技術開発に成功しました。半導体デバイス研究開発に必要とされていた直径2インチウェハができるようになりました。今後、ダイヤモンド半導体デバイス開発は加速的に進んでいくことが期待されます。本製品は2022年に製品化の予定です。

アダマンド並木精密宝石株式会社は、佐賀大学理工学部 嘉数誠教授との共同研究で2021年4月20日に、独自のマイクロニードル法*1を用いて直径1インチの高品質ダイヤモンドウェハ(商品名:KENZAN Diamond™)を開発し、そのウェハ上に、新動作原理に基づくダイヤモンド半導体パワーデバイスを作製し、世界最高水準の高出力電力特性が得られたことをプレスリリースいたしました。*2

しかし、上記の従来の方法では、①パワー半導体デバイスの企業での研究開発では、最低直径2インチが必要なこと、②マイクロニードル法が製造工程を複雑にし、製造コストの低減のネックになることが課題となっていました。

そこで、アダマンド並木精密宝石株式会社では、従来の結晶面方位からやや傾斜させたサファイア基板を用いて、ダイヤモンドの結晶成長を行うと、ステップフロー成長*3というメカニズムで、ダイヤモンド膜の応力が劇的に低減し、マイクロニードルを用いずに、図1上段に示すステップフロー成長を利用したプロセスで大口径化できることを見出しました。

新原理 ステップフロー成長:結晶はサファイア傾斜基板上に横方向に育成。イリジウムbuffer→ダイヤモンド(応力は横方向に)工程がシンプルで低コスト化が可能に 従来の方法では1インチダイヤモンドウェハを作成。サファイアジャスト基板上に結晶は縦方向に育成。マイクロニードルを使用・破断。ダイヤへの応力は面全体にかかる。
図1. 新原理ステップフロー成長と従来成長法

その結果、エレクトロニクス産業応用上必須とされる直径2インチのダイヤモンドウェハ成長に成功しました。このウェハは、図2に示すX線回折ロッキングカーブの半値幅および、反りの測定から、世界最高の結晶品質を証明しました。

図2. X線回折法による結晶性評価結果

さらに、作製したダイヤモンドパワー半導体デバイスは、図3の特性評価結果に示すように、世界最高の345 MW/cm2の出力電力を出すことに成功しました。

図3. ダイヤモンドパワー半導体デバイスの特性評価結果

今後は、2022年に製品化に向けて準備を進めてまいります。大口径ダイヤモンドウェハを用いたパワー半導体デバイス研究を加速してまいります。

研究成果の公表媒体

2021年9月13日「第82回応用物理学会秋季学術講演会」「ステップフロー成長を用いたヘテロエピタキシャルダイヤモンドの高品質化」講演番号13a-S301-3。

KENZAN Diamond

図 今回開発した直径2インチ超えのダイヤモンド結晶(右)と4mm角のダイヤモンド結晶(左)
ダイヤモンド|アダマンド並木精密宝石株式会社

<用語説明>

*1 マイクロニードル法
ダイヤモンド層の結晶成長の途中で、数マイクロメートル径で数十マイクロメートルの長さのダイヤモンドの針(ニードル)を、十マイクロメートルの間隔で縦横に並べた層構造を作製する方法。これにより直径1インチ ダイヤモンドウェハの作製に成功した。しかし作製工程が複雑になるため、コストの観点から課題であった。関連国際論文:1) S.-W. Kim, Y. Kawamata, R. Takaya, K. Koyama, and M. Kasu, Appl. Phys. Lett. 117, 202102 (2020).

*2 プレスリリース
新動作原理によるダイヤモンド半導体パワーデバイスの作製に成功:2021年04月20日佐賀大学
http://www.ee.saga-u.ac.jp/pelab/kasu.html

*3 ステップフロー成長
結晶面方位から、基板面の方位を数度傾斜させることにより、基板面に等間隔に並んだ原子ステップを生じさせ、その結果、ダイヤモンド結晶はステップが横方向に流れるように成長するため、応力が低減し、結晶品質が向上する。

本件に関するお問合せ先

アダマンド並木精密宝石株式会社 広報部 
TEL:03-3919-0101

国立大学法人佐賀大学 広報室
TEL:0952-28-8153

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